働く女性の未来と採用について考える

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人材不足と言われる時代ですが、RPA(事務所の単純作業の自動化技術)と呼ばれるAIやIOTなどのデジタル技術の導入により、銀行や自治体などでは大幅な人員削減が進んでいます。

『雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか』という論文にて、今後10~20年の間に人間が行なう仕事の47%がコンピューターやロボットに奪われるとの衝撃的な予測がありましたが、いままさに現実味を帯び始めてきたようです。

「女性・技術・仕事の未来」

そして最近では、女性の働き手に及ぼす問題を指摘した「女性、技術、仕事の未来」という論文が注目されています。この論文には、「デジタル化や人工知能(AI)、機械学習によって、低技能や中技能の定型業務を伴う仕事の多くが自動化され消滅している。

自動化がさらに浸透していくこの傾向は、とりわけ女性に厳しい課題をつきつける。OECD加盟国を中心に調査対象30ヵ国で2600万人の女性が今後20年間にテクノロジーに仕事を奪われるリスクの高い仕事に就いている」という内容が記されています。

この論文で注目すべきことは、自動化で職を失うリスクの男女差は国によって違い、日本は女性の方が男性よりも3.4倍程度そのリスクが高いとされ、調査対象の30ヵ国の中で最も高いと警告していることだと思います。世界的には女性でも管理職に就くなど男女平等が進んでいますが、日本では企業活動の中心は依然として男性であり、女性はその補助役という労働慣行が根強く残っているからのようです。

従来の論調では、AIが導入されれば女性の働き方がより柔軟化・多様化され、テレワーク等の機会が増え、女性にとってメリットが大きいという意見が大勢を占めていました。しかし、実際は逆で、女性にとって多くの仕事が奪われていく非常に厳しい時代が待っているようです。

日本社会における女性の役割

日本社会において、専業主婦など家事に関わる女性が人材の宝庫であることは間違いありません。そのような女性を採用し活用できる会社は、これからも成長できる重要な条件を持つことができるでしょう。

しかしながら、企業側がそのような優秀な女性との出会いを希望しても、実際はなかなか難しいという現実があります。なぜなら、そのような女性の多くは会社とある一定の距離感を保ち、自らの能力やスキルを向上させることに全力になれず、またもっと稼ぐことに積極的ではありません。

その最大な理由に、「年収106万円の壁」による弊害があると考えます。年収106万円の給与の範囲であれば、社会保険等の優遇があるため、その範囲で家事との両立を行なう女性はかなりの割合でいるでしょう。年収上限106万円だと、労働時間はかなり限定され、時給を上げれば労働時間は減り、成果に対する特別報酬を出したくても受け取らない場合さえあります。

そのため、本人が自身の能力向上や成果報酬などに興味を持つ理由はありません。しかしながら、年収106万円の範囲の仕事とは、AIやIOTなどに奪われてしまう単純労働が多く含まれ、多くの仕事が未来になくなる可能性が高いという事実もあります。

「年収106万円の壁」を越えるために

年収106万円以内による社会保険等の優遇を経済的に上回るためには年収150万円を超える必要があります。さらに、年収106万円の時と同様に労働時間を柔軟にし、家庭第一で働ける環境を提供することが前提になります。そして、そのような環境の中で、自らの能力を向上させる意識を持ってもらい、もっと稼ぐためのスキルアップや高いモチベーションで働くことができる職場環境を提供する必要があるでしょう。

会社としては、入社後にしっかり教育を行ない、単純作業でない領域の仕事をしてもらえるのであれば、限られた労働時間であったとしても、十分価値のある働き手になると思います。ここで重要なのは、働く女性にとっても、近い未来にはAIやIOTに奪われる単純動労でない分野に飛び込むことが本人の未来のためであり、会社にとってもありがたいWin-Winの関係であることを理解することだと考えます。

慢性的な人手不足の時代が続くことは間違いないでしょう。いつか優秀な人材との出会いがあるかもしれないという淡い期待を持つことさえも許されない時代です。だからこそ、優秀な女性を採用し活用できる会社が、明るい未来を作れると断言できるでしょう。

しかし、家事に関わる女性は、まだまだ社会との距離感を意識して保ちながら、本格的に働くことへの恐怖心と社会に対する諦めを持っていると感じています。そこで、会社全体が女性の立場を理解し協力して、家庭と仕事を両立できる環境と教育を提供し、単純労働者を超えた人材に育成しながら、本人の未来の幸せを支援できる会社になることで、優秀な女性を継続的に採用できる強い会社になるのではないでしょうか。

(2019年11月発行 アステックホットライン167号の内容より)

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