人材の「P/L」と「B/S」という考え方

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230830-代表コラム_P8(裏表紙)
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<2023年8月号アステックペイント定期発行物ホットラインより>

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人の採用に関する現実

採用の重要性
※イメージ写真

人材を採用するのが難しい時代であることは間違いない。だから、社長自ら先頭を走り、既存社員とガムシャラに働きながら、会社として利益を出していくことは素晴らしいことだと思う。そして、人を採用することを半ば諦め、今のまま走り続けようと思っている経営者も多くいると思う。

今の時代に人を採用するとなると、採用コストは高くなり、新しく入ってくる社員の給与も高くなりがちで、既存社員とのバランスを考え、他の社員の給与を上げなければならない場合もある。しかしながら、その新人社員には教育を行う必要があり、退職リスクを考えると採用をどうしてもためらってしまう現実もある。

人を採用する際の考え方

人を採用する重要性2
※イメージ画像

実際に新たに社員を迎え入れると、今期の会社の利益は確実に減ってしまう。なぜなら、新人が入ってきても、最初の数ヶ月から半年間は教育や研修に費やすため、すぐに利益に結びつくとは限らない。その間は「給与」という「固定費」は必ずかかり続けることになる。ここで、人を採用する際の考え方を明確にする必要があると思っている。

会社の決算書には「P/L(損益計算書)」と「B/S(貸借対照表)」というものがある。P/Lとは、過去一年間の「収益」と「費用」をまとめ、どれだけ「利益」を出しているかを把握する財務諸表のこと。B/Sとは、過去から現時点までの「経営成績」と「財務状態」をまとめた財務諸表となる。

仮に人材を2名採用すると、給与や諸経費を含めて一人につき600万円、二人で1200万円のコストがかかる。1200万のコストは、全て今期のP/Lの費用に含まれ、今期の利益から1200万円をそのまま差し引くことになる。この数字には、採用した二人が将来的に生み出してくれるであろう未来の利益は一切考慮されることはない。しかしながら、会社で購入する機械などの設備やシステムなどへの投資に関しては、近い未来に生産してくれる(利益を生み出す)資産としてB/Sに計上することができる。項目にもよるが、例えば5年間に分割して、毎年コストとして計上することができる。

何が言いたいかというと、「資産」という考えで設備やシステムなどに投資し、「コスト」という考えで人材を採用することが間違っていると思う。

人=未来の大切な資産

イメージ写真
※イメージ写真

会計上、人材にかかる全ての給与や諸経費はP/Lで毎年計上しなければならない。しかし、「人材」はB/Sでは目に見えない大切な資産である、という考え方が重要だと思う。その大切な資産となる人材には、しっかり教育を行い、将来的にしっかり利益を生み出してくれるという期待があるからこそ、今は大変でも採用をしなければならないと思うことができる。会社の成長を求めるのであれば、採用を諦めるのではなく、未来の大切な資産との出会いに向けて努力し続けるしかないであろう。

現在は、インフレ時代への過渡期である。すなわち、時代の変化に対応するための多少の時間は残されています。
インフレ時代においては、価格を上げられる企業だけが生き残っていけると考えることができます。ぜひとも、今からでも自社サービスの価値の向上に取り組み、販売価格と会社収益の向上を実現していきたい。


コラム寄稿】株式会社アステックペイント代表 菅原徹

菅原 徹(すがはら とおる)

株式会社アステックペイント代表取締役
2000年10月に株式会社アステックペイントを創業して以来、高付加価値な住宅用塗料の研究開発・製造・システムやアプリ開発・販促支援など、あらゆる角度から塗装業界の発展を目指し、事業展開している。

アステックペイント

運営会社】株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。

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