高齢者雇用について考える

代表コラム メーカー外壁製品名塗料 2023.08.15 (最終更新日:2024.01.16)
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<2023年7月号アステックペイント定期発行物ホットラインより>

人材不足、職人不足と言われて久しいですが、アフターコロナになり、国内のあらゆる業界での人材不足はかなり顕著になってきました。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査」によると、正社員の人手不足企業の割合は、2023年4月時点で51.4%と高水準を記録しています。

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建設業界における人手不足

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※イメージ写真

建設業においては、2021年4月54.5%、2022年4月59.4%、2023年4月65.3%で高い水準で推移していることから、人手不足の常態化が顕著で、特にこの1年間は12ヶ月連続で60%超の高水準を記録するなど事態は深刻化しています。

この流れは悪くなることはあっても、良くなることはありません。その理由の一つの指標として「生産年齢人口」というものがあります。これは15歳から64歳までの働くことができる人口のことで、その推移を見ることで未来の人手不足の程度が想像できます。

1995年に約8700万人いた生産年齢人口は、2030年は約6700万人、2040年は5900万人となり、1995年と比較すると65%しか働くことができる人口がいません。日本のGDPに大きな変化がない状況下では、製造業のように労働者をITやロボットに置き換え生産性を上げられる業界は何とか乗り切っていけるかもしれませんが、人手に業務を依存する建設業などは益々深刻になっていくことは間違いありません。

事実、人手を確保できず業績が悪化したことが要因となって倒産した「人手不足倒産」は増えてきており、「建設業」は業種別で最も多いようです。いずれにしても、塗装業界の立場では「人手不足」に関して、手をこまねいている猶予は全くなく、積極的な採用活動を行わない限り未来がないことは明らかです。

女性人材の積極的活用

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※イメージ写真

そのような中で、最も議論が多いのは「女性人材の積極的活用」だと思います。日本では多くの女性が子供を出産するタイミングで家庭に入り、子供が育ってきても社会に本格復帰しない有能な人材の宝庫と言われています。そのような女性に対して、家庭と仕事が両立できる職場環境を提供して、社会復帰を促すような採用活動は間違いなく有効です。そして、子供が成人に近づくころにはフルタイムの正社員として活躍している状態を目指す採用手段は未来のあるべき一つの姿だと考えます。

高齢者雇用の重要性

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※イメージ写真

そこで、もう一つ、人手不足対策で議論に加えないといけないのが「高齢者雇用」だと考えています。総務省統計局によると、高齢者(65歳以上)就業者数は、2004年以降18年連続前年比で増加し続けており、2021年は909万人と過去最多となっています。高齢者の就業率は全体で25.1%ですが、年齢階級別にみると65~69歳は50%超、70歳以上は18%以上など、高齢者の就業率は上がり続けています。そして、「何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいですか」との問いに対しては「70歳以上~働けるうちはいつまでも」働きたいと実に90%以上の人が高い就業意識を持っています。

「高年齢者雇用安定法」により、これまで、65歳までの定年引上げ、定年制の廃止、65歳までの継続雇用制度の導入が求められ、さらには、65~70歳の高齢者の継続雇用の努力義務が課されるようになりました。しかしながら、実際には社会全体では60歳を定年年齢とし、その後は再雇用制度によって継続雇用する企業が圧倒的に多いようです。

世の中のサラリーマンの多くは、上記のような背景から60歳で定年退職し、そのまま再雇用制度を利用して働き続けることになりますが、「その給与水準は従来の50~80%まで大幅減額」、「部下だった人が自分の上司になって立場が逆転する」など厳しい環境に置かれます。さらに、再雇用制度の期間が終了した65歳以上になると、再就職先を探すことになりますので余生を考えると安心できる状況でないと燻っている人も多いことでしょう。 

「ここにチャンスがある」と考えます。その状況を素直に受け入れて前向きに働いている人がいる一方で、その状況を不本意に感じ、「新たな人生を考え始める」方々も多くいるはずです。現在の60歳代、もしくは70歳代は若手と変わらずエネルギッシュであり、ITも使いこなせる方々が多いのも事実です。このような高齢者の最大のメリットは、長年の経験の中で積み上げた「スキル」を有し、再就職先を最後の職場と考えるため、会社に対するロイヤリティ(忠誠心)が高く、余程のことがない限り他社へは転職しないことです。このような方々を積極的に採用していくという選択肢を持っておく必要があると考えます。

高齢者採用に有効なリファラル採用

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※イメージ写真

このような方々を採用するのに最も有効なのは「リファラル採用」です。すなわち、自社の従業員の紹介や社外の取引先など、社内外で信頼できる方に積極的に声を掛け続け、自社に見合った人材を見つけていく採用手法です。

現在では、早期退職制度などもありますので、55歳前後の年齢で良いと思う人材に声を掛け続け、60歳で給与が下がるのではなく、65歳までの給与の安定性を保証し、さらには必要に応じて高齢者の高いニーズとなる「都合の良い時間に働ける環境」を提供し、70歳以降でも働ける提案をすると、自社で働くことに興味を持つ方々も多いことでしょう。 女性や高齢者の採用においては、現在の社員に求めていることと同じことを求めると採用は難しくなります。

そのため、女性や高齢ができることを把握し、会社の業務内容を分割し、それぞれの得意分野が生きる部分で活躍してもらうことで会社と長く共存できます。不得意分野は既存若手社員がフォローし、会社全体で、分業体制で、チームで、組織を運営していくと、「人手不足の未来」においても会社を継続成長させることが可能となっていくと考えます。一つの考え方として、ぜひとも参考にしてください。


コラム寄稿】株式会社アステックペイント代表 菅原徹

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菅原 徹(すがはら とおる)

株式会社アステックペイント代表取締役
2000年10月に株式会社アステックペイントを創業して以来、高付加価値な住宅用塗料の研究開発・製造・システムやアプリ開発・販促支援など、あらゆる角度から塗装業界の発展を目指し、事業展開している。

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