塗装の女性職人が働きやすい環境づくりの秘訣をインタビュー
最近、塗装業界でも女性職人の活躍を耳にすることが増えてきました。
InstagramなどSNSでは「塗装女子」や「現場女子」等のハッシュタグで自身の活動を投稿する女性職人の方もいらっしゃいます。
「塗装業界=男性社会」というイメージが強いですが、女性の活躍が増えることで、新たな気づきを得ることができたり、施主様が気軽に話しかけやすく現場でのコミュニケーションが活性化するなど様々なメリットがあります。
しかしながら、長年男性社会であった塗装業界で女性を雇用するためには、女性が働きやすい環境を整えていくことが重要になってきます。今回は、女性を雇用し働き続けていただくために必要な環境整備の事例について、ご紹介します。
目次
環境づくりの重要性
皆さんは塗装業界で働く職人様にどのようなイメージを持たれていますか?おそらく、「塗装職人=男性」というイメージを持っている方が多いと思います。
実際、塗装職人として働く女性は男性に比べ非常に少ないという実情があり、女性比率は2020年から20年間、約3%で横ばいの推移です。
そのため、塗装業界では、以下の例のように女性職人が働く環境として以下のような課題があります。
例)
・現場のトイレが男女共同である
・女性専用の更衣室が用意されていない
・結婚、出産、子育てなどのライフイベントに応じた制度が不十分である
このような現場作業時の環境面から、塗装職人を選ばないという女性も多いかと思います。
ところが今、塗装業界(建設業界)は人手不足に陥っています。建設業界全体でのデータでみると、技能者(塗装職人など)が年々減少し、その3割以上が55歳以上の方であることが分かります。
技能者の絶対数の減少に加えて高齢化も進み、人手不足は深刻な課題となっています。
そこで、人手不足への対策の一つとして「女性人材の積極的採用」が挙げられます。
現状、日本では多くの女性が子供を出産するタイミングで家庭に入り、子供が育ってきても社会に本格復帰することが少ないため、有能な人材の宝庫と言われています。
そのような女性に対して、家庭と仕事が両立できる職場環境を提供して、社会復帰を促すような採用活動は間違いなく有効です。そして、子供が成人に近づくころにはフルタイムの正社員として活躍している状態を目指す採用手段は未来のあるべき一つの姿だと考えられます。
また、塗装会社経営者様にお話を伺った際に、「子育てが終わった主婦の方にフルタイムで働いてほしい」というお声もございました。
女性職人を雇用するメリット
実際に女性職人様を雇用している塗装会社経営者様に女性職人雇用のメリットを聞いてみました。
・会社が活気づいて明るくなる
・華やかで雰囲気が良く、施主様受けが良い(老若男女問わず良好なコミュニケーションが取れる)
・きめ細やかで現場を丁寧に仕上げてくれる。(細かいところによく気づいてくれる。)
・仕事が丁寧(特に養生など) など
様々なメリットがある中で、課題となるのは女性が働くための環境整備や制度を整えることです。
前出の経営者様にお話を伺う中でも、「女性を雇用することは簡単なことではない」というお声もいただきました。女性が働き続けられる会社にしていくためには、環境整備や福利厚生の導入が必要不可欠です。
女性職人を雇用している会社の取り組み事例
そんな環境設備・福利厚生の導入に関して、塗装会社経営者様⋆²・女性職人様それぞれにインタビューを行いました!女性職人様を雇用している経営者様が、女性を雇用しようと思ったきっかけ、取り組んでいる環境整備、女性と接する際に心掛けていることをご紹介します。
※アステックペイントに加盟している施工店様 計8社対象
Q1.女性を雇用しようと思ったきっかけは何ですか?
・女性でも塗装は出来ると感じたため(人手不足だった)
・たまたま女性から応募があったため
・職人の横の繋がり(紹介)
Q2.女性が働きやすい環境にするために導入している設備はありますか?
・生理休暇を設けている
・社用車にスモークを貼り、中で着替えができるようにしている
・出来る限り女性ペアで現場に入れるようにしている
・歓迎会や慰安旅行を行っている(コミュニケーションを取るため)
・育休制度などの導入
Q3.女性と働くうえで心掛けていることはありますか?
・コミュニケーションを必ず取るようにしている
・プライベートな話は聞かないようにしている
・セクハラをしない
・トイレや水分補給など自由に行ってきていいと声掛けを行っている
・女性だからといって甘やかさず、男性との扱いに変に忖度などをつけない
経営者の方は男性が多いので、女性に対してセクハラにならないようコミュニケーションを取ることを心掛けている方が多いです。また、女性だからといってあまり忖度せずに、平等に接することも大切です。
女性を雇用している塗装会社の経営者様は、女性と働くうえで、様々な設備や制度を導入しています。
また、コミュニケーションを取る際もプライベートなことを聞かないなど、心掛けていることが皆様ありました。
女性職人が会社の取り組みに感じていること
それでは、実際に働いている女性職人様はどのように感じられているのでしょうか?
今回、女性職人様に対してもインタビューを行いました。会社が行っている取り組みに関して満足している点・改善してほしい点について伺いましたので、ご紹介します。
Q1.会社の設備・制度に対して満足している点はありますか?
・直行直帰が可能で、事務所によらなくてよい点
・女性ペアで作業が行えている点
・生理休暇が取りやすい点(事務の方が女性で社長とのやり取りを行ってくれているため、言いやすい)
・人間関係が良い(優しく接してくれる、女性の体調に関して理解してくれる)
Q2.会社設備や制度に対して改善してほしい点はありますか?
・休みが欲しい(誕生日・結婚記念日にお休みできる記念日休暇などがほしい、夏場だけ休暇を増やしてほしい、など)
・作業の段取りをもう少し効率良くしてほしい
女性特有の悩みに沿った制度や、その悩みを理解してくれる周囲の環境、会社の雰囲気が良い、など環境整備に対して満足されているようです。
ただし、改善点としては休みを増やしてほしいという意見が最も多い結果となりました。
基本的には日曜日休みの会社様が多い中で、男性に比べ体力が劣る女性職人にとっては、特に夏場の疲労が1日で取れにくいため、他の季節と比較して休みを増やしてほしい、というお声もありました。
非常に難しい課題ではありますが、有給休暇を取得しやすい環境をつくるなど会社の仕組みや社内の体制を改善していく必要があるでしょう。
会社として導入している制度に関して、女性職人様は働きやすいと感じているようです。一部改善してほしいというお声もありましたが、コミュニケーションを円滑にとりながら、双方にとって良い効果をもたらすような、環境整備・制度の導入が必要だということが分かりました。
まとめ
今回は、女性職人が働きやすい環境(誰もが働きやすい環境)にするために必要な環境整備について、実際にインタビューを行った情報を交えながらご紹介いたしました。
塗装業界は、まだ女性が働きやすい業界とは言えないかもしれませんが、確実に女性を受け入れる体制が少しずつできてきています。
労働環境の整備は、女性だけでなく男性にとってもメリットがあります。現在女性職人を雇用している方はもちろん、雇用していない方も、今一度自社の環境について考え、誰でも働きやすく、働き続けられるような環境作りを行ってみてはいかがでしょうか。
参考資料
建設業運営ガイド:https://fstg.co.jp/blog/employment/998/
女性定着促進に向けたアクションプログラム:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001499408.pdf
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この記事の監修者と運営者
【記事監修】
株式会社アステックペイント
谷口 智弘
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株式会社アステックペイント
谷口 智弘
株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。
【運営会社】
株式会社アステックペイント
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株式会社アステックペイント
AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。