窯業系サイディングとは?劣化症状・塗装工事の手順・既存塗膜別おすすめ塗料を完全解説

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窯業系サイディングとは、日本の戸建住宅の約70%で使用されている外壁材シェアNo.1の素材です。施工のしやすさ・デザインの豊富さ・耐火性の高さが選ばれる理由ですが、防水機能は塗膜に依存しているため、定期的なメンテナンスが欠かせません。

チョーキング・ひび割れ・反り・シーリング破断など、放置すれば雨漏りや躯体劣化につながる症状も多くあります。本記事では、窯業系サイディングの基礎知識から劣化症状・塗装工事の手順・既存塗膜の種類別推奨塗料まで、現場担当者が押さえておくべき情報を体系的にまとめました。

この記事でわかること(要約)
✅窯業系サイディングはセメントを主原料とした板状外壁材であり、日本の戸建住宅の約70%で採用されているシェアNo.1の素材
✅防水機能は塗膜に依存しているため、約7〜10年を目安とした塗装メンテナンスが建物保護の要となる
✅代表的な劣化症状はチョーキング・苔藻・剥離・ひび割れ・反り・シーリング破断の6種類であり、それぞれ早期補修が躯体劣化防止の鍵
✅既存塗膜の種類(一般/無機・フッ素系/光触媒系/仕上げ塗材)によって選ぶべき下塗材が異なり、誤った選定は早期剥離につながる

窯業系サイディングとは

窯業系サイディングとは、繊維とセメントを混合して板状に成形し、表面を各種塗料で保護した外壁材のことです。工場で製造されたボードを現場で組み合わせる「乾式外壁」に分類されます。

日本産業規格(JIS A 5422)の製品性能要求基準値を満たしており、一般社団法人 日本窯業外装協会によると、不燃・準不燃材料として国土交通大臣認定(外壁材の防火構造45分・準耐火構造1時間)を取得しています。

窯業系サイディングは、繊維などを混ぜたセメントを板状に成形し、各種塗料で表面を保護している外壁材のことを指します。

サイディング

窯業系サイディングが選ばれる3つの特徴

窯業系サイディングが多くの方に選ばれる理由には、3つの大きな特徴があります。

特徴①デザインや色が豊富

窯業系サイディング板は様々なデザインやラインナップがあります。レンガ調や木目調、ストライプ柄など幅広い選択肢から、自分好みの外壁に仕上げることが可能です。製造工場内で表面を塗装で着色するため、色の種類も多く、外観にこだわりやすいです。

特徴② 短期間での施工可能・費用が安価

窯業系サイディングがボード状に加工されてあるため、組立て・張付けが容易にでき、比較的短期間で施工が可能です。 また、他のサイディングやモルタル外壁などに比べ、材料費や人件費などを削減でき、全体的な工事費用を抑えられるため、コストパフォーマンスにも優れています。

特徴③ 耐火性や耐久性に優れている

窯業系サイディングはセメントに繊維などを混ぜ、高温で焼成しているため、火や衝撃などにも耐えることができます。

≪耐火性について≫
一般社団法人 日本窯業外装協会によると、窯業系サイディングは不燃・準不燃材料として認められており、国土交通大臣認定(外壁材の防火構造45分、準耐火構造1時間)を取得しています。そのため、万一自宅や隣家で火災が発生しても、延焼を防止しやすくなります。

≪耐久性について≫
窯業系サイディングは日本産業規格(JIS A 5422)にある製品性能要求基準値を満たしており、地震などの外部からの衝撃にも強く、戸建住宅を守ります。

窯業系サイディングの劣化症状

製造工場にて、耐火性や耐久性に優れる設計で作られているため、塗り壁に比べ、経年劣化しにくいですが、「劣化しない」というわけではありません。

経年劣化しにくいと言われている窯業系サイディングにも防水機能面に弱点があります。

窯業系サイディングに含まれるセメントには吸水性があり、それ自体には防水機能はほとんどありません。窯業系サイディングは、常に紫外線や雨風などの外的要因の影響を受けているため、日々、表面がダメージを受けている状態です。結果的に経年で、水分(雨や結露など)を吸収しやすくなり、最悪の場合、漏水や戸建住宅自体に大きな影響を及ぼしてしまいます。実際にどのような劣化症状か、詳しく説明していきます。

サイディングに見られる劣化症状一覧

■チョーキング

熱・水・紫外線などの劣化因子により、塗膜や仕上げ材表面の樹脂が分解され、樹脂と含まれていた顔料が表面で粉状になる現象です。チョーキングが起きている部分を指で触ると塗膜と同じ色の粉が手につきます。 塗膜の初期劣化ですが、放置をすると躯体の劣化にもつながるため、チョーキングが著しい場合は早めの改修を推奨します。

■苔藻の発生

隣家との外壁が近い、田畑や木々に囲まれている、湿気が多く日当たりが悪いなどの要因により外壁の塗膜にコケや藻が発生してしまう場合があります。 外壁に苔や藻が発生したままにしておくと、湿度や水分を保った状態となり、躯体や塗膜の劣化につながるため、早めの補修が必要です。

■塗膜の剥離・膨れ

水分の影響などにより、塗膜の剥離や膨れが発生する場合があります。 建物を保護する役割である塗膜が剥離すると、躯体の劣化につながるため、早めの補修が必要です。

■ひび割れ

ひび割れを放置すると、ひび割れ箇所から雨水等が浸入し、建物自体の劣化を早めてしまいます。 そのため、メンテナンス時にひび割れを発見した場合、早期の補修を行うことを推奨します。

■サイディングの反り

建材に水分が浸み込み、乾湿繰り返しによる膨張・収縮によってボードが反りあがる現象です。一度反ったボードは元には戻らない傾向があります。 水分の浸み込みが繰り返されることで、凍害や雨漏りなどの更なる劣化に繋がる可能性があるため、早急に張り替えなどの補修を推奨します。

■シーリング材の破断

シーリング材目地の劣化の1つでシーリング材の真ん中近くから縦に切れる現象です。発生する要因として経年劣化による硬化、地震や強風などの外部からの衝撃、日々のボードの変形(膨張、反りなど)や施工不良などの複合的要因が挙げられます。
破断箇所から水が浸入し、建物の劣化に繋がる可能性があるため、シーリング打ち替えなどの補修を推奨します。

窯業系サイディングのメンテナンス

一般的に窯業系サイディングの期待耐用年数は約7年~10年程度と言われており、約10年頃を目安にメンテナンス・補修を実施する必要があります。メンテナンスには、主に「塗装(シーリング材の打ち替え)」「カバー工法」「サイディングの張り替え」の3種類ございます。塗装(塗膜)状態とシーリング材の劣化状況を見極めたうえで、適切なメンテナンスが必要です。

工事内容部位の劣化状態
塗装・塗膜の劣化 (チョーキング・膨れ・汚染など)
・微細なひび割れ(クラック)
シーリングの打ち替えシーリング材の劣化(破断・ひび割れなど)
カバー工法(部分張り)・塗装で補えない剥離や大きなひび割れが多数
・雨漏りを起こしている
サイディングの張り替え・サイディングの劣化(反りや欠損など)
・雨漏りにより内部にもダメージを受けている

塗装工事の工程

<全体の流れ>
①足場の組み立て → ②高圧洗浄 → ③下地補修・養生 → ④下塗り → ⑤中塗り・上塗り → ⑥足場解体 → ⑦完工

①足場の組み立て

施工物件に合わせて足場を設置します。

②高圧洗浄

建物の外壁に付着する汚れや弱った旧塗膜は、新しい塗装の際に塗料の密着を妨げます。高圧洗浄によって外壁をきれいにすることで、塗料の付着性を確保します。

③下地補修・養生

塗装前には、補修をして平滑な下地を作成します。塗装する上での下地補修には、主に「ひび割れ(クラック)の補修=補修材やパテ」「シーリングの補修=シーリング材」の2種類です。

下地補修が不十分な場合、雨水の浸入や劣化の原因に繋がりますので、劣化状況に応じて適切な補修方法を選定してください。※劣化が著しい場合は、部分的に該当箇所を張り替える必要があります。
そして、下地補修と同じタイミングで養生を行います。

④下塗り(下塗材を塗装する作業)

下塗材は、建物の下地と上塗材をしっかりと付着させる役割があるだけでなく、建物の表面の状態を整えて塗装しやすくする役割も持っています。
※下地材の形状や種類、劣化状況によって塗付量が異なります。

⑤中塗り・上塗り(上塗材を塗装する作業)

上塗りは、多くの場合、1回目の塗装の「中塗り」、2回目の塗装の「上塗り」を実施します。上塗材の役割である建物の機能を保護し、美しい外観を維持するために、規定塗布量を守って施工することが重要です。※下地材の形状や種類、劣化状況によって塗付量が異なります。

⑥足場解体
足場を解体します。

⑦完工
建物の改修工事が完了します。

近年、窯業系サイディング板の期待耐用年数を高めたり、汚れを防止するなど高い機能が付与された部材があります。その多くは、難付着系塗膜(フッ素・無機・光触媒)が使用されており、専用下塗材の使用が必要不可欠です。

窯業系サイディング改修におすすめアステックペイント塗料

 アステックペイントでは、窯業系サイディングにおける下塗材・上塗材を豊富に取り揃えております。特に推奨する製品とその特徴を以下にご紹介します。

「一般塗膜」「難付着系塗膜(無機・フッ素系」「難付着系塗膜(光触媒系)」「仕上げ塗材(リシン・吹付タイル・スタッコなど)」の場合で、推奨する下塗材が異なります。

既存塗膜:一般塗膜
下塗材 :エポパワーシーラーサーモテックシーラー
ポイント: 「エポキシ樹脂」を使用し、上塗材との密着・付着を良好にします。
既存塗膜:難付着系塗膜(無機・フッ素系)
下塗材 :プレミアムSSシーラープライマーエポプレミアムシーラープライマーJY
ポイント:特殊成分を配合しているため、様々な一般的および無機・フッ素系の塗膜に付着することが可能です。
既存塗膜:難付着系塗膜(無機・フッ素系)
下塗材 :プレミアムSSシーラープライマーエポプレミアムシーラープライマーJY
ポイント:特殊成分を配合しているため、様々な一般的および無機・フッ素系の塗膜に付着することが可能です。
既存塗膜:難付着系塗膜(光触媒系)
下塗材 :プレミアムSSシーラープライマー      (白・グレー)  
エポプレミアムシーラープライマーJY (白)
ポイント:特殊成分を配合しているため、様々な一般的および無機・フッ素系の塗膜に付着することが可能です。光触媒塗膜が施工されてある窯業系サイディングでは、色の選定が重要です。
透明の色を使用した場合、紫外線の透過により、経年で塗膜剥離が発生する場合があるため、色付タイプを選択してください。
既存塗膜:仕上げ塗材
下塗材 :エピテックフィラーAE ⅡホワイトフィラーAⅡ
ポイント:既存の仕上材によっては、凹凸がある場合もあります。「フィラー」を塗装して表面をなだらかにすることで、上塗材の塗膜厚をしっかり確保し、均一な仕上がりを実現します。

オススメ上塗材:超低汚染リファインシリーズREVOシリーズ
ポイント:窯業系サイディングによっては、塗膜表面に埃やチリ等の汚染物質が蓄積する可能性があるため、低汚染効果のある塗料の選定することで、外観の美観を長持ちさせることができます。
また、窯業系サイディングのセメントは熱を蓄熱しやすい性質を持つため、遮熱効果を持つ塗料を使用することで室内の温度上昇を抑えることができます。
 
なお、窯業系サイディングの欠損や劣化が著しい場合はカバー工法などの別の補修方法を推奨します。

まとめ

窯業系サイディングは日本の戸建住宅の約70%で使用される外壁材ですが、防水性は塗膜に依存しているため、定期的な塗装メンテナンスが建物保護の基本となります。

現場で特に注意が必要なのは、既存塗膜の種類の確認です。難付着系塗膜(無機・フッ素・光触媒)には専用の下塗材が必須であり、誤った選定は施工後のクレームや手戻りコストにつながります。正しい知識を持ち、最適な製品を選ぶことが、信頼される塗装会社としての評価向上につながります。

FAQ(よくある質問)

Q1. 窯業系サイディングとは何ですか?
窯業系サイディングとは、繊維とセメントを混合して板状に成形し、表面を塗料で保護した外壁材です。工場製品を現場で張り合わせる「乾式外壁」に分類され、日本の戸建住宅の約70%で採用されているシェアNo.1の外壁材です。

Q2. 窯業系サイディングのメンテナンスはいつ頃必要ですか?
一般的な期待耐用年数は約7〜10年です。チョーキング・ひび割れ・シーリングの破断などの劣化症状が見られた場合は、耐用年数に関係なく早めの点検・補修を推奨します。

Q3. 難付着系塗膜とは何ですか?なぜ専用下塗材が必要なのですか?
難付着系塗膜とは、フッ素・無機・光触媒などの高機能塗膜の総称で、一般的な下塗材が付着しにくい特性を持ちます。専用の特殊成分を配合した下塗材を使用しないと接着力が確保できず、早期の塗膜剥離が発生するリスクがあります。

Q4. 光触媒コーティングされた外壁への塗装で、なぜ透明の下塗材は使えないのですか?
透明の下塗材では紫外線を遮断できないため、塗膜を透過した紫外線が光触媒に当たり、ラジカル(有機物を劣化させるエネルギー)が発生して下塗材の樹脂を分解します。これが早期剥離の原因になります。光触媒面への塗装は「難付着系対応」かつ「白色または有色」の下塗材が必須です。

Q5. アステックペイントに加盟するとどんなメリットがありますか?
難付着系塗膜への対応を含む現場の技術的な疑問への専門スタッフによる迅速なサポート、職人向け勉強会・安全大会への参加機会、そして低汚染・遮熱・難付着系対応を含む幅広い製品ラインナップへのアクセスが主なメリットです。施工品質と提案力の向上を同時に実現できます。

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この記事の監修者と運営者

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

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株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。

【運営会社】
株式会社アステックペイント

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AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。

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