焼付塗装

工事・工法塗装 塗装の現場から 2022.08.09 (最終更新日:2026.03.17)

焼付塗装とは、金属などの素材の表面に塗料(粉体塗料・溶剤塗料)を塗布した後、100〜200℃の熱を加えて塗膜を硬化させる塗装方法のこと。 一般的な常温乾燥塗装と比べて、高温で焼き付けることで塗膜の硬度・耐久性・密着性が大幅に向上するのが最大の特徴だ。


焼付塗装と一般塗装の違い

項目焼付塗装一般塗装(常温乾燥)
乾燥・硬化方法100〜200℃の熱で強制硬化常温での自然乾燥・化学反応による硬化
塗膜の硬度高い(傷つきにくい)比較的低い
耐久性高い(耐候性・耐薬品性に優れる)焼付塗装より劣る場合が多い
施工場所工場での施工が基本(現場での再現が困難)工場・現場どちらでも施工可能
主な用途金属建材・サッシ・アルミ部材・工業製品外壁・屋根・木部・鉄部など幅広い

焼付塗装の主な種類と特徴

焼付塗装には使用する塗料の種類によって以下の種類がある。

  • メラミン焼付塗装:メラミン樹脂系塗料を使用する最も一般的な焼付塗装。130〜150℃程度で焼き付ける。コストパフォーマンスが高く、アルミサッシ・スチール家具・建築金物・家電製品などに広く採用されている。ただし耐候性は後述のアクリル系・フッ素系より劣るため、屋内向けや外装の補助部材に使用されることが多い
  • アクリル焼付塗装:アクリル樹脂系塗料を使用する焼付塗装。150〜180℃程度で焼き付ける。メラミン系より耐候性・耐薬品性・光沢保持性が高く、外装用アルミサッシ・カーテンウォール・外装建材などに使用される
  • フッ素焼付塗装:フッ素樹脂系塗料を使用する最上位グレードの焼付塗装。耐候性・耐汚染性・耐薬品性が非常に高く、超高層ビルの外装カーテンウォール・橋梁・公共建築物など、長期的な耐久性が求められる用途に採用される。コストは高いが耐用年数が長い

焼付塗装が使用される主な用途

焼付塗装は以下のような製品・部位に広く使用されている。

  • 建築分野:アルミサッシ・アルミカーテンウォール・スチールドア・建築金物・スチールパーティション
  • 工業製品:自動車ボディ・家電製品の筐体・スチール家具・スチール棚
  • 道路・公共施設:道路標識・ガードレール・橋梁部材・公共施設の外装部材

焼付塗装のメリットとデメリット

メリット

  • 塗膜が硬く傷つきにくく、耐摩耗性に優れる
  • 耐候性・耐薬品性・耐湿性が高く、長期間にわたって美観を維持できる
  • 短時間で硬化が完了するため、工場での大量生産・品質の均一化に適している
  • 粉体塗料を使用する場合はVOC(揮発性有機化合物)の排出が少なく環境負荷が低い

デメリット

  • 高温の焼付炉が必要なため、工場以外での施工・現場での補修が困難
  • 熱に弱い素材(木材・プラスチックなど)への施工は不向き
  • 既存の焼付塗装面が傷ついた場合、現場での完全な色合わせ・再現が難しい

よくある質問(FAQ)

Q. 焼付塗装が施されたアルミサッシは現場で塗り替えできるか?
焼付塗装が施されたアルミサッシは工場での焼付塗装と全く同じ状態に現場で再現することは難しい。 ただし、現場での補修・塗り替えが不可能なわけではなく、アルミ専用の常温硬化型塗料や2液型ウレタン塗料を使用することで、ある程度の美観回復・保護性能の付与は可能だ。ただし工場焼付塗装と比べると塗膜の硬度・耐久性は劣るため、専門業者に相談のうえ適切な塗料・工法を選択することが重要だ。

Q. 粉体塗装と焼付塗装の違いは何か?
粉体塗装(パウダーコーティング)は焼付塗装の一種だ。溶剤を使用せず粉末状の塗料を静電気で素材表面に付着させ、180〜200℃程度の熱で溶融・硬化させる方法を指す。通常の焼付塗装が液体状の溶剤塗料を使用するのに対し、粉体塗装はVOCの排出がなく環境負荷が低い点が特徴だ。塗膜の厚みが均一で耐衝撃性・耐食性が高く、スチール製品・アルミ部材などに幅広く採用されている。

Q. 焼付塗装の耐用年数はどのくらいか?
焼付塗装の耐用年数は使用する塗料の種類・使用環境によって大きく異なるが、目安は以下のとおりだ。

種類耐用年数の目安
メラミン焼付塗装5〜10年程度(屋内・補助部材での使用が多い)
アクリル焼付塗装10〜15年程度
フッ素焼付塗装15〜25年程度(高耐候性が要求される外装部材に使用)

ただし沿岸部・塩害地域・多雪地域など過酷な環境下では耐用年数が短くなる場合があるため、環境条件に応じた塗料グレードの選択が重要だ。

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