リターダーシンナー

副資材塗装工事・工法 塗装の現場から 2022.05.23 (最終更新日:2026.04.10)

リターダーシンナーとは、ラッカーシンナーに混合して使用する「蒸発抑制剤入りシンナー」のこと。 「リターダー(retarder)」は「抑制剤」を意味し、沸点が高く蒸発が遅い成分を配合することで溶剤の揮発速度を意図的に遅らせる役割を持つ。「ノンブラッシングシンナー」「カブリ止めシンナー」とも呼ばれる。


リターダーシンナーを使用する目的

リターダーシンナーは主に気温湿度が高い夏季の塗装作業で使用される。

通常のラッカーシンナーは揮発速度が速いため、高温多湿な環境下では溶剤が急激に蒸発し、気化熱によって塗膜表面の温度が急低下する。 この温度低下によって空気中の水分が塗膜表面に結露し、塗膜が白く曇る「ブラッシング(白化)」という塗装不良が発生する。

リターダーシンナーを混合することで溶剤の蒸発速度が抑制され、気化熱による温度低下を緩和してブラッシングの発生を防止できる。


ブラッシング(白化)が起きやすい条件

  • 気温が高い(目安:25℃以上)
  • 湿度が高い(目安:相対湿度85%以上)
  • 風が強く溶剤の蒸発が加速している
  • 厚塗りをしている

上記の条件が重なる夏季・梅雨時の塗装作業では、リターダーシンナーの使用を検討することが推奨される。


リターダーシンナー使用時の注意点

リターダーシンナーは便利な反面、使用量が多すぎると乾燥が大幅に遅延するリスクがある。

  • 乾燥時間が延びる:蒸発速度が遅いため、標準の乾燥時間より長くなる
  • 降雨による白化リスク:乾燥が完了する前に雨に当たると、塗膜が水分を吸収して白化する場合がある
  • 混合比率を守る:使用量の目安は塗料メーカーの仕様書に従い、過剰添加は避ける
  • 晴天・低湿度時には不要:乾燥条件が良好な環境での使用は、逆に乾燥不良・タレ・ワキの原因となる場合がある

よくある質問(FAQ)

Q. リターダーシンナーラッカーシンナーの違いは何か?

項目ラッカーシンナーリターダーシンナー
揮発速度速い遅い(意図的に抑制)
主な用途ラッカー系塗料の希釈ブラッシング防止のための混合添加
使用する条件通常の気温湿度高温多湿な夏季・梅雨時
使用方法単体で希釈剤として使用ラッカーシンナーに一定比率で混合

リターダーシンナーラッカーシンナーの代替品ではなく、混合して使用する補助的な添加シンナーであることに注意が必要だ。

Q. リターダーシンナーはどのくらいの比率で混合するのか?
混合比率は使用する塗料の種類・気温湿度・施工環境によって異なる。 一般的な目安としてはラッカーシンナー全体量の10〜30%程度をリターダーシンナーに置き換える場合が多いが、必ず使用する塗料メーカーの仕様書・SDSに記載された推奨比率を確認したうえで使用することが重要だ。過剰に添加すると乾燥不良・タレ・ワキなどの塗装不良が発生するリスクがある。

Q. リターダーシンナーはどのメーカーの塗料にも使えるか?
リターダーシンナー使用する塗料メーカーが指定・推奨する製品を選ぶことが基本だ。メーカーが異なるシンナーを使用すると、塗膜不良・密着不良・硬化不良などのトラブルが発生する可能性がある。また、リターダーシンナーラッカー系塗料専用であり、水性塗料・弱溶剤系塗料には使用できないため注意が必要だ。

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